−0316 後輩−
後輩の女の子と、お酒を飲んできました。
「先輩、私、彼氏ができたんです」
「へぇ、おめでとー。どんな人?」
入学当初、純情で、男の子と話すのさえも緊張していた彼女に、彼氏が。時の流れを
少し感じました。
「すごく、いい人なんです。かっこよくて、公務員で…。休日は、車でドライブに連れて
行ってくれるんです。…あ、この指輪、昨日ホワイトデーのお返しにくれたんですよ」
シンプルなシルバーリングを、彼女は嬉しそうに見せてくれました。
「…いいねぇ。完璧な彼氏やん。どうやってつかまえたの?」
「バイト先の友達が、紹介してくれて」
「紹介かー。いいねぇ。…で? 自分から告白したの? それとも、向こうから?」
「向こうからです」
彼女の顔は、本当に幸せいっぱいな顔でした。キラキラして、まぶしかったです。
「いいなー! うらやましいわ!」
「ええ。『俺、素人童貞なんやけど、やらしてくれへん?』って、すごく真剣な顔で
言われたんで…。つい、いきおいで『うん』ってうなずいちゃって」
「は?!」
「で、先輩…。あの、素人童貞って…何ですか?」
その後、おずおずとその質問をした彼女に、眉一つ動かさず、事細かに、「素人童貞」
について語った自分は、本当に、この4年間でどれだけ汚れたのか、思い知りました。
開始1時間で終わった飲み会は、大変苦い思い出に終わったような気がします。
あややには、まだまだ遠いなぁ!
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