Automatic?

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映画「模倣犯」感想  見終わった後の、正直な感想は「唖然」でした。  終わった後、しばらく立ち上がれないぐらい衝撃を受けました。監督いわく、  この映画は、監督が原作を読んで感じたことの断片を、つなぎあわせて作った  映画、らしいので、ある程度覚悟はしていたのですが、まさかここまでとは!  見ている途中に、これほど置いてきぼりにされた気分になったのは、はじめて  です。  いやね。あの ピースが有馬義男(山崎努)に、電話で追い詰められて、  「大事なことを教えてくれる大人が、まわりにいなかった、お前はかわいそう  な人間だ」と言われるシーンありましたよね。ここで、ピースの機械のような  表情が、はじめて少しだけ崩れる所。ここまでは、かなり映画に感情移入して  いて、うるうるっときていたんですよ。言うほど、キャストのアラも目立たない  し、ストーリーも分かりにくくないし、サスペンス映画の謎解きの要素や、  哲学的な問答の要素を、けっこう取り入れていて、くるくるとめまぐるしく  かわる画面に戸惑いながらも、作中にひきずりこまれていましたし。だいたい、  この映画の中のピースは、薄っぺらいキャラの中にも、「孤独」というのが  徹底して描かれていまして。「どうして僕の所に誰も来てくれない」とか、  「笑いたい時に、一緒に笑える友がほしい」とか、そういった断片的な孤独の  言葉を、何度も何度も劇中で口にしていたピースに、はじめて理解者が現れた  シーンだ、と私は感じたんですよ。もう、その後の、充足感に満ちたような  ピースのピースサインと笑顔に、切なくて、涙が出そうになりました。しかし。  しかしです。  「いやー、新手法使いまくったはずなのに、いざ出来上がってみたら、あんまり   インパクトない映画になっちゃったなー。よしっ、じゃぁちょっと、最後   ピースがピースサインした所に、CGいれるか! 首どーんととれるやつ。   これなら、インパクトあるだろ!」  という監督の暴走を、誰も止めなかったためか、うるうるっと来た涙は、全て  笑いに転換されてしまいました。映画館で、呼吸困難になりかけたのは、はじ  めてですよ。大声で笑えないから。もう、それまでの、ちょっとシリアスな  雰囲気を、一気にぶち壊し、サスペンスを、一気にコメディに変え、今までの  殺人やピースの苦しみも何もかも、一気にこのギャグシーンに対する前振りと  化してしまったこのシーンは、日本映画史に残る、最高の暴走だったと思います。  おかげで、ラストのピースの赤ん坊を、有馬が抱き上げるシーン、本当は、  涙でボロボロ泣きながら見ることができるシーンだったにも関わらず、笑いが  おさまらないまま、スタッフロールがはじまることになってしまいました。  まぁでも、何が一番驚いたって、終わった直後は、「何だこの糞映画」と思って  いたのに、後から「あのシーンの意味は何だろう」とか、「何でああいう言葉  を言ったのか」とか、考えているうちに、妙にいい映画だ、と思えてしょうが  なくなったところです。後からクる映画なのか、私が森田監督の術中にはまった  だけなのか…。とりあえず、DVD出たら買うと思います。

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